賃金不払に関する労働基準監督署の監督指導結果

KOYAMA社会保険労務士法人 仙台事務所の佐藤由望です。

 

令和5年に厚生労働省が実施した賃金不払に関する労働基準監督署の監督指導結果が先日公表されました。

この調査では、全国で21,349件の賃金不払事案が取り扱われ、対象となった労働者は約18万人、未払い賃金総額は約102億円に上りました。

前年と比較すると、件数や対象労働者は増加しているものの、未払い賃金の総額は約19億円減少しています。

 

調査結果では、監督指導の成果も明らかにされており、労働基準監督署の指導により約97.6%の事案が解決されました。

この結果、約174,000人の労働者に対して、約93億円が支払われました。

しかし、倒産や事業主の行方不明などにより未解決の事案や支払が困難な事案も含まれており、完全な解消には至っていない部分もあります。

 

今後、厚生労働省は賃金不払事案の解決を目指して監督指導を徹底し、特に倒産などによる解決困難なケースに対しては、「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づく未払賃金立替払制度を迅速に運用することを明言しています。

労働者の権利を守るための監督指導の重要性は今後も高まっていくでしょう。