就業規則の必要性
KOYAMA社会保険労務士法人 仙台事務所の壽見です。
先日、顧問契約となった従業員8名の事業所の社長から、将来を見据えて就業規則を作成したい。と、ご依頼を受けました。現在、従業員が常時10人未満の事業場については、労働基準法上、就業規則の作成および労基署への届出義務はありません。そのため、「今はまだ必要ない」と考えられがちですが、将来的に人員拡大を予定している事業者にとっては、早い段階で就業規則を整備しておくことが実務上は非常に重要です。
人が増えてから就業規則を作成すると、入社時期によって労働条件や社内ルールの説明内容が異なってしまい、「これまでは認められていた」「急にルールが変わった」といった不満やトラブルにつながりやすくなります。特に、欠勤・遅刻への対応、有給休暇の取り扱い、残業の考え方、退職時のルールなどは、明文化されていない場合に紛争になりやすい項目です。
この段階で作成する就業規則の目的は、従業員を過度に縛ることではなく、将来人員が増えた際にも一貫して適用できる「共通ルールの土台」を作ることにあります。具体的には、就業時間・休日、賃金の基本的な決め方、欠勤や無断欠勤時の対応、退職・解雇に関するルール、そして懲戒に関する規定は、人数が少ない段階でも必ず定めておくべき重要な事項です。特に懲戒や解雇については、就業規則に根拠規定がない場合、後から適切な対応を取ることが難しくなるため注意が必要です。あらかじめこのような就業規則を整備しておけば、従業員数が常時10人以上になった際も、内容を大きく変更することなく、事業拡大のタイミングで慌てることなく、労務管理をスムーズに進めることができます。
このように、10人未満であっても将来の拡大を見据えるのであれば、就業規則は「義務になる前に整えておくもの」と考えることが、安定した事業運営につながります。
