試用期間中の労働者の解雇

KOYAMA社会保険労務士法人仙台事務所の松田です。

 

「試用期間中であれば解雇しても問題ありませんか」

「入社後14日以内であれば自由に解雇できますか」

年度初めの入社が多いこの時期に、しばしばご相談いただく内容です。

試用期間中であれば簡単に解雇できると考えている方も多いようですが、これは間違いです。

 

試用期間中の労働契約は「解雇権保留付労働契約」といい、労働契約が成立しているものの、正当な理由があれば労働契約を解約できる権利が保留されています。

これは、通常の解雇よりも広く解雇の自由が認められるという意味ではありますが、「客観的に合理的な理由があり社会通念上相当な場合」のみ解雇できるといった原則は守らなければなりません。

また、14日以内であれば通常30日以上前に必要な解雇の予告が不要となりますが、解雇予告以外の解雇の原則は適用されます。

よって、試用期間中だからといって安易に解雇の手続きを進めてしまうと、解雇不当とされ解雇無効の訴えや損害賠償請求に発展してしまう可能性もあります。

 

では、どのような場合に不当解雇となってしまうのでしょうか。注意点をいくつかまとめてみました。

・就業規則に「本採用拒否」に関する規定はあるか

・試用期間の途中(短い期間)で「適正なし」と判断していないか

・高すぎる判断基準を設定していないか、また必要な指導をしているか

 

 

一方で、「経歴詐称」「申告した能力と実際の能力に著しく大きな差がある」などの明確な理由がある場合は、解雇が認められる可能性が高いです。

まずは、就業規則の試用期間の規定をご確認いただいた上で、期間の中で何を評価し、どういった基準で判断していくのかを明確にすることが重要です。