65歳の誕生日よりも前に退職すると失業手当が手厚くなる?

KOYAMA社会保険労務士法人仙台事務所の村山です。

 

高年齢化が進む中、「退職のタイミング」は老後資金や社会保険の制度活用に大きく影響します。65歳に到達する前に退職することで失業手当が有利になる可能性があることをご存じでしょうか。

失業手当の基本:原則として65歳未満が対象

雇用保険の「基本手当(いわゆる失業手当)」は、原則として65歳未満で退職した方が対象となります。雇用保険に加入していた期間に応じ日数も多いです。(最大150~330日)
一方65歳以降に退職した場合は「高年齢求職者給付金」という別制度となり、給付内容が大きく異なります。一括払い、最大50日分程度の定額給付となってしまいます。

上記から、65歳になる前に退職すると基本手当の受給対象になることができます。これは就職活動を前提とした生活保障の制度で、最大330日(年齢・雇用保険加入期間等により異なる)受給できるため、再就職がすぐ決まらない場合も安心です。

「基本手当」の日額は、退職前6ヶ月の賃金日額の50〜80%が支給される計算です。たとえば、月給30万円程度の人なら、1日あたり6,000円〜7,500円程度が目安となります。
仮に150日分支給されれば、90万円〜110万円前後を受給できる可能性もあるため、最大50日分の一括払いよりかは経済面でも安心かと思います。

注意点としては、以下のような失業手当の受給資格を有しているかどうか確認する必要があります。

①雇用保険に1年以上加入している
②自己都合退職の場合、待機期間(7日)+給付制限(2ヶ月)がある
③ハローワークでの求職申込が必要
④就職意思と能力があること

退職タイミングの調整は、年金・社会保険料・住民税などにも影響します。単に「65歳になる前に辞める」だけでなく、年金の繰下げ、健康保険の任意継続、扶養関係の変更などもセットで検討することが重要です。