勤怠管理の重要性について
KOYAMA社会保険労務士法人 東京事務所の小山です。
最近ですが、あるお客様の勤怠管理システムのリプレイスに関わる機会がありました。複数の事業所にわたるリプレイスでもあり、当方としても滞るようなことがないよう、入念に対処をしている最中です。
この勤怠管理システムのリプレイスを通じて、改めて、会社における勤怠管理の重要性に気付かされたように思います。なお、ここで言う「勤怠管理」とは、従業員の出退勤の時間や欠勤、遅刻早退などの勤務状況を記録し、労働時間を管理することです。
皆さまもご承知の通り、働き方改革関連法の一環として、2019年4月、労働安全衛生法が改正され、会社には労働者の労働時間を「厚生労働省令で定める方法」によって客観的に把握することが義務付けられました(労働安全衛生法第66条の8の3)。具体的な法令の内容はここでは省きますが、労働時間を「厚生労働省令で定める方法」として、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法で把握することとなっており、原則として、手書きの出勤簿などの自己申告による労働時間の把握は認められないとされています。
2019年の法改正で、そこまで政府がこだわった背景には、労働環境を改善すること、とりわけ「長時間労働の是正」が命題であったと言われています。その具体的な施策の第一歩が、より正確な労働時間の把握であり、客観的な方法による勤怠の記録の義務化であったと私は考えています。
「法律が変わったから、厳しい要件が課せられたから、勤怠管理システムの導入などで、労働時間を把握しよう」ということでも良いのですが、私見としては、雇用する側の事業主と、雇用される側の従業員との信頼関係の構築にとって要となるのが、勤怠管理だと考えています。それは会社の規模にかかわらずであるとも考えます。なぜ、会社の規模にかかわらず、勤怠管理が信頼関係の要となるのか、それは人生における大切な時間を、会社のために提供する従業員への礼儀であり、感謝の意を具体的な形にする行為とも言えるのではないでしょうか。
法令に携わる社労士っぽくない見解ですが、自身も管理者として、勤怠を管理する立場でもあり、勤怠管理を通じて、労働を提供する職員への感謝と礼節を具体的な形としたいと、最近では考えるようになりました。
少々、本題とずれたかもしれませんが、より正確な労働時間を把握することは、近年の日本における様々な問題が背景にありながらも、事業者の規模にかかわらず、今では絶体的要請とも言えるでしょう。それを前無きにとるのか、後ろ向きに考えるのかはそれぞれの事業主のスタンスに因ると思いますし、どちらに考えるかは自由でしょう。
しかしながら私見としては、より正確な労働時間を把握するために、勤怠管理は、その方法は様々であっても、従業員との信頼関係構築の要として捉えていただければと考えます。