通訳って、ただ“訳す”だけじゃない

SolveHRのマルセリアザラです。

私の仕事のひとつは、外国人材と日本人スタッフの間で「言葉の橋渡し」をすること。よく「通訳って、言葉を訳すだけですよね?」と聞かれることがあります。でも実際に現場で働いていると、通訳の役割はそれだけではないと、日々実感します。

 「「言葉の意味」だけでは伝わらない」例えば、日本人の担当者が「これからしばらくの間、残業が増えるかもしれません」と言ったとします。それはただインドネシア語に訳すのは簡単です。でも、言葉の意味だけじゃなくて、その裏にある気持ちや理由まできちんと伝えることが大事だと思います。もしかしたら、会社が忙しい時期に入っていて、頑張りに期待しているのかもしれない。あるいは、その「しばらく」がどのくらいの期間なのか、本人にとってはとても気になるポイントかもしれません。だから私は、ただ「翻訳」するのではなく、文化の違いや本人の不安も想像しながら伝え方を工夫するようにしています。

 面談のとき、「問題はありません」と答える本人がいても、本当は何か困っていることを抱えていることもあります。そんなとき、話し方のトーンや表情、目線などから小さな変化を感じ取ることがあります。通訳者として、言葉に出てこない気持ちを感じ取って、必要なら少し説明を加えることも大切にしています。また、本人の気持ちをそのまま日本語にすると、ちょっとストレートすぎて相手に誤解を与えてしまう場合もあります。そんな時は、「どう言えばお互いが気持ちよく理解し合えるか?」を考えながら伝えるようにしています。

 通訳の仕事は、言葉の意味を変えずに、正確に伝えることが基本です。でも、相手の表情や感情、文化的な背景も含めてやりとりをサポートすることで、「ただ訳す」以上の価値を提供できると思っています。本人が安心して話せる環境をつくり、企業側が安心して受け入れられるような雰囲気を作る。その間に立って、おたがいが安心して話せるように、信頼のきずなを少しずつ作るのも私の大切な仕事です。通訳の仕事は大変なことも多いですが、その分とてもやりがいがあります。


言葉だけでなく、「心」や「文化」も通訳できるよう、これからも成長していきたいと思います。