社員が裁判員に選ばれたら?企業が準備しておくこと
KOYAMA社会保険労務士法人 東京事務所の菊馬です。
ある日突然、社員から「裁判員に選ばれました」と報告を受けることがあるかもしれません。そんなとき会社はどうすればいいのでしょうか。裁判員制度は、国民が刑事裁判に参加して裁判官と一緒に有罪か無罪か、また刑の重さを判断する仕組みです。選ばれた社員には法律で休みを取る権利が認められているため、会社としても対応を考えておかなければなりません。
ここで気をつけたいのは、その休暇が有給になるか無給になるかは法律で決まっていない点です。つまり、会社ごとに就業規則や労使協定で取り扱いを定める必要があります。もし何も決まっていなければ、いざ社員が裁判員に選ばれたときに「この休みはどう扱うのか」と混乱を招くことになるため、事前にルールを整えておくことがトラブル防止につながります。
また、裁判員の職務は数日から場合によっては数週間にわたることもあります。その間、仕事の調整や代替要員の手配が必要になるので、会社としても計画的な対応が求められます。そのため、裁判所からの通知を受けた社員がすぐに相談できるよう、総務や人事部門に窓口を設けておくと、本人も安心して裁判員の役割を果たせます。
裁判員制度は社員にとって重要な義務であると同時に、会社にとっても社会的責任を果たす大切な場面です。社員が安心して参加できる環境を整えることは、結果的に職場の信頼関係や企業の評価にもプラスになります。だからこそ、就業規則の整備や勤務体制の調整、相談窓口の設置といった仕組みを今のうちから準備しておきましょう。