甲欄?乙欄?
KOYAMA社会保険労務士法人 仙台事務所の村山です。
近年、副業を認める企業が増え、複数の会社から給与を受け取る働き方が一般化する中で、給与計算実務における源泉所得税の「甲欄・乙欄」の取扱いがこれまで以上に重要になっています。
甲欄か乙欄かの判断は複雑に見えるかもしれませんが、基準は極めて明確であり、「給与所得者の扶養控除等申告書」がどこに提出されているかによって決まります。この申告書が提出されている勤務先が主たる勤務先となり甲欄を適用し、提出されていない勤務先はすべて乙欄となります。
収入の多寡や会社側の認識は関係なく、あくまで申告書の提出先が判断基準です。副業があっても申告書が自社に提出されていれば自社は甲欄であり、反対に他社に提出されていれば自社は乙欄になります。
実務上問題になりやすいのは、副業の有無や申告書の提出先の確認が不十分なまま処理を行ってしまうケースであり、特に中途入社時や副業開始時に確認を怠ると、源泉税額の誤りが生じ、従業員の年末調整や確定申告にも影響を及ぼします。
また、甲欄と乙欄の変更が必要となるタイミングは、扶養控除等申告書の提出状況が変更された時点であり、その変更後に支払う給与から適用区分を切り替えるのが原則です。過去に遡って修正するのではなく、状況が変わった時点以後に支払う給与から変更するという整理になります。
副業時代の給与計算においては、単に計算を正しく行うだけでなく、他社勤務の有無や申告書の提出先を把握する仕組みを整えることが不可欠であり、入社時の確認体制や副業開始時の届出ルールを明確にしておくことが、会社としての適正な源泉徴収とリスク管理につながります。
