地域社会の福祉の向上を支える社会保険労務士の役割と展望 私の所感 ④

KOYAMA社会保険労務士法人 東京事務所の小山です。

 

私たちの身近な社会では、非正規雇用や低賃金、社会保険の未加入などを背景に、生活に困難を抱える人が少なくありません。こうした課題は「働き方」と密接に結びついており、この課題の解決に向けて、労務や社会保険の専門家である社会保険労務士が果たす役割はますます重要になってくると考えています。

 

社労士は、企業に対して適正な雇用契約や社会保険加入を整えるよう支援することで、働く人が安心して生活できる環境づくりに貢献します。これにより、生活困窮に陥ることを未然に防ぐことができます。また、すでに生活が困難な状況にある方に対しては、生活困窮者自立支援制度や生活保護、住宅確保給付金などの制度を活用するための相談や就労支援を行い、制度と働く機会をつなぐ「橋渡し役」として力を発揮します。

 

さらに、貧困や生活困窮の問題は行政や福祉関係者だけで解決できるものではありません。地域のNPOや企業などとの連携が不可欠です。社労士は、労務管理の専門性や企業とのネットワークを活かし、地域の支援プログラムに参画することで、協力の「ハブ」として地域社会を支える存在となると言えるでしょう。

 

地域社会において、社労士は、労務管理の専門家にとどまらず、地域社会の福祉を高める担い手としての役割が一層求められていくと考えています。困窮に陥る前の予防的支援、困難からの社会復帰を支える伴走型の支援、そして地域全体での支え合いの仕組みづくりなど、こうした取り組みに社労士が積極的に関わることが、持続可能な社会の実現につながると言えるでしょう。

 

今回は、地域社会の福祉の向上を支える社労士の役割と展望の4回目として、「貧困・生活困窮者支援」の視点からコメントしました。貧困や生活困窮の支援は決して他人事ではなく、地域で暮らす全ての人に関わる課題です。働く人と企業の双方に寄り添える社労士だからこそできることがあります。当法人としても、地域の一員として社会の福祉向上に寄与していきたいと考える昨今です。