代行サービスの多様化について

KOYAMA社会保険労務士法人仙台事務所の村山です。

 

近年、「代行サービス」という言葉を耳にする機会が増えています。電話応対を外部に委託する電話代行サービスや、退職手続きを本人に代わって行う退職代行サービスなど、その種類は年々広がりを見せています。
忙しい現代人にとって、“自分の代わりにやってもらう”という選択肢は、ごく身近なものになりつつあります。

かつて「代行」といえば運転代行や家事代行が中心でしたが、現在ではビジネスや個人生活のあらゆる場面に広がっています。

たとえば、企業向けでは以下のようなものがあります。

・電話代行サービス:顧客からの電話を専門オペレーターが受け付け、内容を報告してくれるもの。
採用代行(RPO)サービス:求人広告の掲載から応募者対応までを一括でサポートするもの。
経理・給与計算代行:煩雑なバックオフィス業務を専門家に委託するもの。
助成金申請代行(社労士業務):各種雇用関係助成金の申請書類作成や提出を、専門資格を持つ社会保険労務士 が事業主に代わって行うもの。

個人向けにも以下のようなサービスが増えています。

・退職代行サービス:本人に代わって退職の意思を会社に伝えるもの。
手続き代行サービス:年金・保険・補助金などの申請を代わりに行うもの。
買い物代行・並び代行など、日常生活のサポートを代行するもの。

多様化した背景には、「時間の不足」と「精神的負担の軽減」という2つの要素があるかと思います。
ビジネスシーンでは少人数経営の場合、事務作業を社内でまかなう余裕がなくなっています。
個人の側では、「直接伝えにくいことを第三者に頼みたい」「専門知識がないので任せたい」という心理的ニーズも大きいと思います。

しかし便利な一方で、法的なリスクや責任の所在には注意が必要です。
たとえば退職代行サービスの場合、「交渉」を伴う行為は弁護士でなければ行えないとされており、一般業者が無資格で対応することは違法となるおそれがあります。
また、助成金申請など公的な手続きの代行は、社会保険労務士などの国家資格者にのみ認められている業務ですので、誰でも認められるものではありません。

「人に任せる」ことで生まれる時間的・精神的なゆとりを上手に活用しつつ、専門性・法的適正性のある代行を選ぶことが、これからの時代の賢い選択になってくるのだろうなと近頃考えるようになりました。