“ワークライフバランスを捨てる”という言葉に感じたこと

KOYAMA社会保険労務士法人 東京事務所の菊馬です。

 

高市早苗氏が自民党総裁選の選出後演説で「ワークライフバランスという言葉を捨てます」と話したことが取り上げられていました。言葉だけ聞くと少し強い印象ですが、全文を読むと「自分が誰よりも働く」「全員で日本を立て直す」という前向きな意気込みが伝わってきます。単に“休まず働け”という話ではなく、“本気で動こう”というメッセージだったように感じます。

 

そもそもワークライフバランスとは、仕事と生活をどちらも大切にして、無理なく両立させる考え方です。仕事にやりがいを持って取り組み、しっかり休んで生活も充実させる。どちらかを犠牲にするのではなく、両方を整えることで、結果的に良い仕事ができるようにするという発想です。

 

ただ、最近はこの言葉が少し形だけになってきたようにも思います。「働きすぎないように」と言いながら、いつの間にか“やらない理由”に使われるような空気もある。高市首相の「捨てる」という言葉は、そんな停滞した空気を変えたいという気持ちの表れなのかもしれません。

 

働くことはつらいことばかりではなく、自分の成長や誰かの役に立つ喜びにもつながります。もちろん、健康を無視してまで働くのは違いますが、「どう働くか」「なぜ働くか」をもう一度見つめ直すきっかけになる言葉だったのではないでしょうか。

 

“バランスを捨てる”という表現は、決してバランスを壊すことではなく、「自分の意思で働く」「前を向いて動く」という覚悟のこと。働くことを前向きに捉える人が増えれば、社会全体ももっと明るくなる――そんな風に感じました。