外国人材との共創社会実現に向けて私の所感
KOYAMA社会保険労務士法人東京事務所の小山です。
新たに発足した高市政権では、経済安全保障担当大臣が「外国人との秩序ある共生社会推進」を担うこととなりました。 新政権の外国人政策の今後の展開に、大いに期待をしたいところではあります。
私は2020年より、社会保険労務士業務と並行して、グループ法人であるSolveHR株式会社で、特定技能外国人材の採用・支援に取り組んできました。
外国人材の雇用に関して、根強く反対する勢力があることも事実であり、日本における外国人材の雇用については、その賛否はわかれています。反対する勢力の意見には様々な背景があり、それらの主張に対して、一定の理解をおくスタンスも重要であるとは考えますが、私は、大きく2つの理由から、日本における外国人材の雇用は、積極的に推進すべきと考えています。
第一に、少子高齢化による労働力不足が深刻化する中、安定的な経済成長のために、外国人材は不可欠であること。第二に、日本での就労を望む外国人材に門戸を開くことは、日本の国際的役割であり、とりわけ、アジア地域における重要な貢献であると考えるからです。
特に後者については、私自身の支援経験から強く感じています。ある外国籍の男性の特定技能への在留資格変更支援に携わった際、複雑な状況から、一度は当局より、「本国へ帰って出直してください」と、取りつく島もない対応をとられました。その際、「在留はもうあきらめるしかないか」と私から彼に告げる場面もありました。その後、ある公的機関の特別の配慮もあり、特定技能への在留資格変更許可は何とか叶いました。新しい在留カードを手にした彼の感謝の言葉と涙に触れ、日本で働ける道を開けた意義を実感しました。「良かった。本当に良かった」と、私は何度も繰り返しながら、その喜びを分かち合えたことが深く印象に刻まれています。その後も彼は喜々として働いており、特定技能2号資格の取得に向けて、挑戦を続けています。
他にも、私たちが就労を取り次いだ外国人材より、日本の会社で働けることへの喜びの言葉をよく聞きますが、彼らに共通して言えるのは、日本という国が好きであり、日本で働くことに大きなメリットを実感していることだと思います。それは金銭的なメリット以上のことだとも感じ入ります。日本文化を尊重しつつ母国の価値観も大切にし、社会に溶け込もうと努力するその姿は、欧米の移民史とは異なる、日本ならではの共生のあり方を示していると感じます。
一方で、在留外国人増加に伴う課題も顕在化しており、今後も対策が求められます。しかし、日本社会が持続的に発展していくためには、日本での就労を望む外国人材に対して広く門戸を開きつつ、外国人材との文化的融合を進め、新しい共創社会を築くことが重要なのだと思います。
人材の流動化が進む中、企業にとって価値ある人材を獲得・定着させることが生き残りの条件となります。その鍵を握るのが、外国人材との共創社会の実現であると私は考えます。
