地域社会の福祉の向上を支える社会保険労務士の役割と展望 私の所感 ②

KOYAMA社会保険労務士法人 東京事務所の小山です。

前回のブログから、「地域社会の福祉の向上を支える社会保険労務士の役割と展望」のテーマで、私の所感を記しています。労務・人事に携わる方々の接点とは、違う観点で、私たち社会保険労務士の役割について、ご理解いただく機会になれれば幸いです。

 

第1回目は、 「成年後見人制度と社会保険労務士の役割と今後の展望」についてコメントをしました。

第2回目の今回は、「社会復帰支援」に関わることについて、コメントします。具体的には、「刑務所出所者等の社会復帰支援」のことです。

 

刑務所出所者等の再犯防止と改善更生は、我が国の刑事政策における喫緊の課題であり、特に社会復帰後の生活支援が極めて重要です。出所者は、住居、就労、人間関係といった複合的な困難に直面しており、保護観察所や更生保護施設、協力雇用主※、自治体、NPOなどが連携し、切れ目のない支援体制が求められています。

この中でも「就労支援」は、出所者が自立した生活を築く上で中心的な要素であり、ここに社会保険労務士が果たす役割が注目されています。

 

社会保険労務士は、人事・労務管理や社会保険制度に関する専門知識を活かし、協力雇用主に対する雇用管理上の助言や、雇用契約・就業規則の整備、助成金活用の支援などを通じて、出所者の職場定着を後押しします。これにより、企業側の不安を軽減し、協力雇用主としての参入を促す効果も期待されます。

さらに、地域の企業や自治体との連携により、社会保険労務士は福祉と雇用の「橋渡し役」としての立場を強め、出所者の社会的包摂を進める存在となります。

 

再犯防止には地域の理解と共生意識が不可欠であり、啓発活動やネットワークづくりにおいても、社会保険労務士はその専門性と中立性を活かした貢献が可能であると言えるでしょう。

今後において、社会保険労務士は、単なる労務管理の専門家にとどまらず、「福祉的就労支援の専門職」としての社会的意義が高まり、刑務所出所者と地域社会とをつなぐキーパーソンとしての役割が一層期待されるものと考えています。

 

社会保険労務士の専門性を活かした包括的な支援により、地域社会の福祉の向上と安心・安全の実現に貢献していくことが、今まさに求められていると考える昨今であります。

 

※【法務省公式ページ:協力雇用主について】 👉 https://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo02_00030.html