最近の所感 ー法令と現実との狭間の中でー
KOYAMA社会保険労務士法人 東京事務所の小山です。
最近のことで、あるお客様とのお話の中で、「小山さんは、国の立場で話をする人なのか、我々中小事業主の立場で話をする人なのか、一体、どっちの立場の人なのか?」と、やや強めの口調で、少々詰問されるような感のある一幕がありました。
そのお答えとしては、「両方の立場であって、どちらとも言えません。」ということになると一瞬は考えましたが、私たちがお仕事をいただいているのはお客様ですのでそのようにはお答えはせず、お茶を濁したようなコメントを返したものと記憶しています。
ここでいう「国の立場」とは、法令であったり、関係する官庁の行政通達であったり、行政機関の指導事項になろうかと思います。「中小事業主の立場」とは、従業員を抱え、日々、必死に利益を出そうとしている経営者の置かれている状況や思いといったことになるでしょう。その立場の違いが、時には相反し、片方とっては到底受け入れがたいことになってしまうことはよくお聞きします。しかし、だからと言って、私たち社労士が法の網の目をくぐるようなテクニックをご指導するようなことは、法令をベースに判断、ご指導する立場の士業にあっては、もってのほかというしかないでしょう。
しかし、明日を生き延びるために、1円でも利益を出したいという事業主の必死のお考えも理解できます。
では、どうしたら良いのか?
「法令や役所の指導はこうですから従ってください。」のような、ある意味での「建前」ばかりを私たち社労士がかざして、お客様の立場を置いてきぼりにすることは絶対したいとは思いません。お客様の立場を理解し、お客様にできるだけ寄り添って、行政機関や時には国に対しても代弁する役割が私たち社労士にはあり、それは十分できると思っています。また、そのことができる私たちの役割は社会的に大きいとも感じています。
そのうえでですが、代弁をするに際しても、お客様と接する際でも、「自分はこう考える。法令やモラル、場合によっては、人道に照らしても間違ってはいない。だから確固たる信念を持って、役所に対しても、お客様に対しても接してゆこう」というポリシーが無ければダメだなといまさらに思うものです。
とはいえ、現実はより複雑で、思うようにならないことに頭を抱える日々でもあります。