年金、いつからもらう? 65歳・70歳繰下げ・63歳繰上げのメリット・デメリット
KOYAMA社会保険労務士法人 東京事務所の岸です。
今回は、多くの方が悩まれるテーマ、「年金はいつからもらうべきか?」について、65歳から受け取る場合、70歳まで繰下げる場合、63歳から繰上げる場合のメリット・デメリットを整理してご紹介します。
基本:老齢基礎年金・老齢厚生年金は「原則65歳」から
現在、公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は原則として65歳から支給されます。ですが、60歳から70歳までの間で自由に受給開始年齢を選ぶことができ、「繰上げ」「繰下げ」という制度があります。
①【65歳から受け取る場合】(標準パターン)
メリット
- 通常通り受給でき、年金額は減額も増額もなし。
- 将来設計が立てやすく、他の社会保障制度との連携もスムーズ。
- 働きながらでも年金受給が可能(ただし厚生年金加入中は支給停止の可能性あり)。
デメリット
- 特別な増額メリットはない。
- 早く受け取りたい方や、長寿リスクに備えたい方にとっては中途半端に感じることも。
②【70歳まで繰下げる場合】
メリット
- 年金額が最大42%増額される(1か月繰下げるごとに0.7%増額)。
- 長生きすればするほど得をする設計。
- 老後資金にゆとりが出る可能性が高い。
デメリット
- 受給開始が遅くなり、70歳まで年金がもらえない。
- 体調不良や早期死亡などにより、結果的に損になる可能性も。
- その間の生活資金を別途準備しておく必要がある。
③【63歳から繰上げる場合】
メリット
- 早く年金がもらえる(最大2年前倒し可能)。
- 働いていない・無収入の期間がある人には助かる。
- 自分のタイミングで生活設計を立てやすい。
デメリット
- 年金額が最大▲12%減額(1か月繰上げるごとに0.4%減額)。
- 一度決定すると変更できない(終身にわたって減額が続く)。
- 長生きすると、最終的な受給総額が大幅に少なくなる可能性あり。
人生100年時代と言われる今、年金の受給時期の選択は重要なライフプランの一部です。
「いつからもらうのが正解か?」ではなく、「自分にとって一番納得できるタイミングはいつか?」を軸に考えてみてください。