体調不良で頻繁に欠勤・遅刻する社員への会社の正しい対応とは

KOYAMA社会保険労務士法人仙台事務所、村山です。

新年度が始まり2ヵ月程経過しておりますが、特に新入社員で「体調不良」を理由にした遅刻・欠勤が繰り返されるケースが多くなっている印象です。体調面に配慮しつつも、他の社員への公平性や業務の安定性も考慮する必要があり、企業側としても意識して対応を進めなければいけない問題でもあります。企業側がどのように適切に対応すべきか、実務的な観点から整理してご紹介します。

①事実確認とヒアリングの実施
体調不良が頻繁な場合、まずすべきは「事実の把握」です。
・欠勤・遅刻の頻度やパターンを記録。
・医師の診断書の提出を求める(長期・繰り返しの場合)
・本人と面談し、現在の体調や通院状況、就業継続の意志を確認

②業務の影響と就業継続の可能性を評価
社員本人が継続して勤務できるかどうかは、就業規則上も重要な判断材料です・
・軽易な業務への変更(配置転換)の検討
・出勤可能な時間帯や頻度の調整(短時間勤務など)
・就業継続が困難な場合には、※休職制度の活用も視野に入れる
※ 就業規則に基づき、一定期間就労が困難な場合には「私傷病休職」として一定期間の休職を与えることができます。この期間中に療養・回復を促し、復職に向けたサポートを行います。

③就業規則と運用の整備
制度としての対応力が問われる場面でもあります。予めどのような事態が起きた場合でも対応できるような整備が必要です。
・欠勤・遅刻に関する取り扱い(連絡義務・診断書の有無など)
・休職・復職に関する明文化
・労働条件の見直し(たとえば、所定労働時間の短縮や有期契約への変更など)

④対応を続けているが改善されない場合
体調不良が真実であるか疑わしい、あるいは回復の兆しもない状況が続く場合、会社としても対応を迫られます。
・客観的な記録(出勤簿、面談記録、診断書の有無など)を残す
・労働契約法第16条に基づき、「解雇回避努力義務」の履行
・就業継続が著しく困難であると判断される場合には「普通解雇」の検討

⑤他の社員への影響への配慮
こうしたケースでは、周囲の社員への心理的・実務的負担も少なくありません。
・業務量の偏りを避ける工夫
・公平性の観点を説明する場を設ける
・メンタルヘルス対応(産業医・EAPなどの導入)

社員の健康と業務運営の両立は、簡単ではありません。しかし、就業規則に則った明確で誠実な対応が、本人の信頼を守り、他の社員の納得感にもつながります。
お困りのことがございましたらKOYAMA社会保険労務士法人までご相談ください。