法人役員の労災特別加入について

KOYAMA社会保険労務士法人仙台事務所の田子です。

法人の役員(取締役、代表取締役など)は、原則として労働者災害補償保険(労災保険)の適用対象ではありません。しかし、一定の条件を満たす場合に「特別加入制度」を利用して労災保険に加入することができます。

  1. 法人役員の特別加入の概要

労働者ではない法人の役員も、特別加入制度を利用することで、業務上の災害や通勤災害に対する補償を受けることが可能です。ただし、すべての法人役員が対象となるわけではなく、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 特別加入の対象となる法人役員

法人役員の特別加入は、以下のいずれかの条件を満たす場合に認められます。

  1. 中小企業の事業主等としての加入

労働保険事務組合を通じて加入することが必要です。

特別加入を希望する場合は、以下の手続きを行う必要があります。

  1. 労働保険事務組合への委託(中小企業事業主等の場合)
    • 労働保険事務組合を通じて特別加入の申請を行う
    • 事務組合が管轄の労働基準監督署へ手続きを行う
  2. 加入申請書の提出
    • 特別加入申請書を作成し、必要書類とともに提出
    • 役員自身が現場作業に従事していることの証明が求められる場合がある
  3. 特別加入保険料の納付
    • 加入する保険給付基礎日額(3,500円〜25,000円)を選択し、それに応じた保険料を納付
    • 保険料率は業種により異なる
  1. 特別加入のメリットと注意点

メリット

  • 役員自身が業務中や通勤時に事故に遭った場合、労災保険の給付を受けることができる。
  • 業務災害による死亡・後遺障害などに対して、公的な補償を受けることが可能。

注意点

  • すべて事故が対象ではなく、業務への実態関与が求められる。
  • 一般の労働者と異なり、加入には事務組合を通じた手続きが必要な場合がある。

法人役員でも、業務に従事する実態がある場合は、労災保険の特別加入が可能です。特に、中小企業の経営者や、現場作業を行う役員は、労災事故のリスクを考慮し、特別加入を検討する価値があります。事務組合への加入を経た特別加入への加入をご検討の際はぜひ当社労士法人にご相談ください。