進む高齢化社会にあって私の所見
KOYAMA社会保険労務士法人東京事務所の小山です。
先日、ある地域の介護事業に携わる管理者向けの労務管理研修を担当する機会がありました。
高齢化社会がますます進む中、介護事業者の果たす役割は、これまで以上に重要性が増してゆくものと考えます。それ故に、介護事業に携わる方々の労働環境を健全に担保できる状態を維持・向上していくことが急務とも言えるでしょう。私としては、介護事業者が果たすべき役割の重要性と、介護従事者の労働環境を担保することを念頭に入れて、担当させていただきました。
この度の研修を担当するにあたり、介護業界を取り巻く周辺環境などについて、予め調べてみました。その中で、介護業界が抱える課題、特に介護従事者の人手不足、労働環境の悪化、介護職員のキャリア形成など、労務管理上の様々な課題があることを改めて痛感しました。また、昨年、介護事業者の倒産件数が2000年以降で最多となったとの新聞記事を目にし、介護業界全体が厳しい状況にあることを実感した次第です。
多くの課題が山積する中にあって、介護事業に携わる方々の労働環境を健全に担保できる施策が確実に実行されていかなければ、介護事業全体の行く末が危ぶまれる事態にならないかと危惧します。特に小規模事業者にとっては、殊更、深刻な状況とも言えるかもしません。
このように、高齢化社会を支えるために、その一翼を担う介護業界が抱える課題一つをとっても、諸問題は山積し、より複雑化していると言えるでしょう。
さらに、介護業界だけでなく、年金制度の持続可能性、医療・介護の負担増、人口減少や家族形態の多様化、地域コミュニティの崩壊など、今日の高齢化社会において、社会全体が直面する構造的な問題も複雑化の一途をたどっています。これらの課題は、個人や一部の業界、また、国や自治体の施策だけで解決できるものではありません。
このような状況を踏まえると、問題解決の鍵は、社会全体で支え合う「共助」の仕組みを築くことにあると考えます。行政や企業、地域コミュニティ、そして私たち一人ひとりが協力し合い、互いに支え合うことで、これらの課題に立ち向かうことができるでしょう。「共助」を基盤とした社会の構築こそが、持続可能な未来を切り拓くための最も有効な手段であると、考える昨今です。