週休3日の働き方について、思ったこと

KOYAMA社会保険労務士法人 東京事務所の小山です。

 

先日、「週休3日の働き方が欧州と日本で広がりつつある」という内容の新聞記事を興味深く読みました。日本では、製造業や鉄道会社などの運輸業で、徐々にではあるものの、導入事例が増えているとのことです。しかし、欧州型との違いは、欧州では、週休3日にともなって、週の労働時間も短縮する方法をとっているのに対し、日本では、週の労働時間は変えず、1日の労働時間を伸ばして導入する事例が多いようです。

この辺りは、もともとの「労働」に対する欧州人の発想と、日本人の発想との違いによるものだとは思いますが、いずれにしても、この「週休3日」も、人材難に直面している今日の時代にあって、より柔軟な働き方を、各企業で模索していることの一つの現れではないかとも感じ入ります。

 

しかしながら、以下は私見の範囲ですが、週休3日の試みも、財政的基盤がある企業だからこそ為せることであって、それは多くの場合、大手の企業に限定されるのが当面の課題と言えるではないでしょうか。

 

ある中小企業の経営者は、「うちが週休3日なんてやったら、あっという間につぶれちゃうよ」と嘆いておられました。この心情は私もよく理解できます。多くの中小企業にとっては、従業員の休みが増えることで、それを補うコスト増が死活問題になりかねないと考えるのではないかと思います。

 

もちろん、「柔軟な働き方を実現する制度を浸透させることで、生産性向上を目指す」という考え方もあると思います。政府が掲げる「新しい資本主義」をバックグランドに、より労働生産性の向上を目指す企業体制を整えていくことが時代の要請であり、それは企業の規模にかかわらずのことであるのが現実なのでしょう。その一つの事例が、週休3日の導入のような、柔軟な働き方の実現と考えます。

 

しかし一方で、生産性を追求することには、不慣れな人のほうが多いのが世の中の実態ではないでしょうか。それは、経営者といえども例外ではなく、労働生産性の向上という課題に臆してしまう事象も、実際はまだまだ多いのが現実と言えるのではないかと思います。

 

「週休3日の働き方が日本で広がりつつある」という新聞記事をみて、政府が指向する働き方の方向性と、現実とのギャップに、改めて気づかされたような気がしました。