顧客が保有する機密情報の保全という課題にどう向き合うか?
KOYAMA社会保険労務士法人 東京事務所の小山です。
過日の新聞報道で、以前勤務していた会社の営業先などに関する名刺データを不正に転職先側に提供したとして、会社員の男性が個人情報保護法違反(不正提供)で逮捕されたとの記事が掲載されていました。他にも、営業秘密情報の持ち出しなどで、不正競争防止法違反による逮捕事案も、昨今よく聞き及びます。こうした事案を聞くにつけ、社員の転職の他、様々な要因から、会社が保有する営業情報等の機密情報の流出をいかに防ぐかという会社側の危機管理意識が以前より増しているように感じ入ります。
このことと関連しますが、お客様から「同業他社への転職に縛りつけたい」、「退職後の機密情報の漏洩を防ぎたい」とのご相談を受けることがよくあります。そうした場合、施策の例として、規則や誓約書などで一定の縛りをつけて、営業情報等も含めた機密情報の流出を防ぐやり方などをご提案しますが、実際それが労働・社会保険法令等に照らして、どこまで法的拘束性を問うことができるかは、何とも言いがたいところではあります。
人材の流動性がますます高まっている時代、会社が保有する機密情報をどうやって保全していくかは、業種の如何にかかわらず、ますます重要な課題となっていくことでしょう。
会社の人事・採用に関わる私たち社会保険労務士も、顧客が保有する機密情報の保全という課題に対して、時には専門とする法令を超えて対策を講じるためのご提案をしてゆくことになろうかと考えるこの頃であります。