第9次改正社会保険労務士法について
KOYAMA社会保険労務士法人 仙台事務所の伊東です。
令和7年6月18日、第9次となる社会保険労務士法改正法案が参議院本会議で可決、成立しました。
以下、今回の改正のポイントです。
①社会保険労務士の使命に関する規定の新設
第1条の目的規定が使命規定に改められ、社会保険労務士の社会的・公共的役割が明記されました。
これにより、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上、社会保障の向上および増進に寄与することが強調されています。
②労務監査に関する業務の明記
社会保険労務士の業務内容に「労務監査」が含まれることが明確化されました。
具体的には、労務管理、労働保険や社会保険に関する諸法令、労働協約、就業規則、労働契約などの遵守の状況を監査することが内容となります。
③裁判所への出頭及び陳述に関する規定の整備
従来、社会保険労務士が裁判所に同席する場合の規定において「訴訟代理人」と表記されていましたが、今回の改正で「代理人」に変更されます。
実務上の混乱を減らし、また社会保険労務士が専門的な知見から陳述する際の立場がより明確となります。
④「社労士」という名称の使用制限規定への追加
社会保険労務士でない者が社会保険労務士またはこれに類似する名称を使用することは禁止されています。
今回の改正で、社会保険労務士に類似する名称として「社労士」が含まれることが明記されました。
今回の改正を受けて、日本労働組合総連合会の事務局長が談話を発表しています。
内容としては、今回の改正は社会保険労務士の業務の明確化を図るものであるが、労働者保護という観点では懸念が残るというものでした。
社会保険労務士の使命は「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施」を通じて「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上」を図ることであるため、これに反するような行動をすることがないように業務に取り組む必要があることを再認識しました。