退職届を出した後に撤回できる?

KOYAMA社会保険労務士法人 仙台事務所の佐藤由望です。

 

一度退職届を出した後に、気が変わって撤回したいと思うこともあるかもしれません。

しかし、退職届の撤回が認められるかどうかはケースによって異なります。

過去の判例をもとに、どのような場合に撤回が認められるのかを見ていきます。

 

大隈鐵工所事件(最三小判昭和62年9月18日) では、従業員Xが退職届を提出し、翌日に撤回を申し出ましたが、会社はこれを拒否しました。

裁判所は「退職届が人事部長に受理された時点で退職の合意が成立している」と判断し、撤回は認められませんでした。

このケースでは、会社がすぐに承諾したことで、退職が確定したと考えられたのです。

 

一方、岡山電気軌道事件(岡山地判平成3年11月19日) では、バス運転手Xが退職届を提出したものの、後日撤回届を提出しました。

裁判所は「使用者が承諾するまでは、特別な事情がない限り撤回は可能」と判断しました。

さらに、この会社では人事権を持つのは別の常務であり、退職届を受け取った人物にはその権限がなかったことから、Xの退職届は撤回できると結論づけました。

 

これらの判例から、退職届の撤回が認められるかどうかは、①会社の承諾の有無、②承諾する権限を持つ者が受理したかどうか、③撤回が信義則に反しないか などがポイントになります。

退職を決意した場合は慎重に判断し、もし撤回したい場合はできるだけ早く会社に相談することが大切です。