成年後見人制度と社会保険労務士との関わり
KOYAMA社会保険労務士法人東京事務所の小山です。
皆さんは、成年後見人制度をご存知でしょうか?
一度は耳にされた方も多いとは思いますが、具体的な制度の中身について、よく把握されている方はそれほど多くはない制度ではないかと思います。ここでは、制度の詳細の説明は省きますが、厚生労働省ホームぺージ「成年後見早わかり」から引用すれば、「知的障害・精神障害・認知症などによってひとりで決めることに不安や心配な人がいろいろな契約や手続をする際に、同じ地域に暮らすさまざまな人がつながって、ご本人の思いを分かち合い、いっしょに考えお手伝いする制度」と紹介されています。
https://guardianship.mhlw.go.jp/
少子高齢化社会の背景もあり、年金給付等に関わる社会保険労務士が、この成年後見人制度での受任を受けるケースが年々と増えています。実は、私もこの分野には以前より関心もあって、今般、延べ20時間以上に及ぶ「成年後見人養成研修」の受講を経て、成年後見人としての受任要件を満たす資格を得ております。しかしながら、現在は、法人や個人事業主への労務に関わる業務が主ですので、「個人」との関わりが主になるこの分野での業務を受けるまでには至っていません。
なぜ、社会保険労務士の私が、この成年後見人制度に関心を持つようになったのか?その理由は二つあります。
一つは、社会保険労務士としての社会貢献を踏まえて、より長期のスパンで、地域社会に暮らす様々な人たちに対して、お役に立っていきたいという使命感(少し大袈裟ですが)であり、もう一つは、自身のプライベートな体験に因ります。それは、家族が被った傷病について、地域社会の誰に相談すべきか、自分が分かっていなかったことと、そうした個別の傷病に関する問題について、行政を含む地域社会や、制度上のフォローアップが、十分には満たされていないことを実感したからです。
であれば、「社会保険の専門家」を自称する者として、その「十分には満たされてない」ことを補完することに貢献したいと考えたからです。
具体的には、行政だけでは手が届かない対象者への制度の周知や支援だったり、24時間でも対応できるような窓口として、社会保険労務士が、行政に代わって、地域社会の人との繋がりをフォローできる状態を現実化できればと私見としては考えています。しかしながら、それに至るまでには、様々な障壁が数多くあるでしょう。
人は、身近な家族や親族、また、職場、地域社会、ひいては国からの「助け」があってこそ生き続けることが出来るものだと考えます。助けてもらったり、時には助けたりしながらの「相互扶助」の関係性があってこそ成り立つ社会と言えるでしょう。
成年後見人制度に社会保険労務士として関わることは、その「相互扶助」の関係性をベースに、心からの他者への貢献として成り立つ生業であると考えます。もちろん、私たちが、現在関わる全ての仕事が、そうであることを固く信じて奮闘する日々でもありますが。