年収の壁・支援強化パッケージ運用開始について思うこと

KOYAMA社会保険労務士法人 東京事務所の小山です。

過日の新聞報道で、政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」の運用を本年10月20日から開始する旨の記事がリリースされていました。
皆さんもご存知の通り、パートやアルバイトで一定以上の収入(106万円または130万円)となった場合の社会保険料の負担の発生や手取り収入の減少を避けるために、就業調整を行うなどのいわゆる「年収の壁」への対応が以前より着目されており、この「年収の壁・支援強化パッケージ」は、そのことへの対応策として、政府が取り組んでいる施策の一つと言えます。

パッケージの詳細はここでは省きますが、私がこの報道を聞き及んだとき、「なぜ、今年の10月開始なのか?」と少し違和感を覚えました。というのも、厚生年金保険被保険者数51人以上の企業等で働く短時間労働者の社会保険加入義務化が明年10月に予定されていますが、明年10月から、そのタイミングに合わせてのパッケージの運用開始というと、「いよいよとなった短時間労働者社会保険加入義務拡大」に対する施策として合点がいきますが、それより1年早い開始とする政府の狙いは何であるのかはパッとは考え付きませんでした。
もちろん、このパッケージは、短時間労働者社会保険加入義務拡大だけにフォーカスした施策ではありませんが、支援内容を精査するに、その意図するところの目的は大きいと感じ入ります。また、2年から3年とする長いスパンでの支援でもあることを鑑みるに、できるだけ早い時期にスタートさせて、短時間労働者社会保険加入義務拡大の定着を図ろうとする政府の意図がわかる気がします。

いずれにしても、年金財源をいかに確保するかという命題がバックにあって、こうしたパッケージも、短時間労働者社会保険加入義務拡大への時限的な措置であることは免れないでしょう。

私見としては、少子高齢化という日本社会が直面してこなかった構造的な問題への対策を先に見据えてのパッケージであることを信じたいと思う昨今ではあります。

 

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