年俸制のメリットデメリット

KOYAMA社会保険労務士法人仙台事務所、松田です。

「従業員の給与を年俸制に変更したい」といったご相談を受けることがしばしばあります。

賃金を年俸額にて決定すること自体に問題はありません。年俸制は、成果を直接賃金に反映できる職種や職位の方に適しており、年間支給額が確定している為、企業も労働者も長期的な計画が立てやすいといったメリットがあります。

しかし一方で、管理運用面において様々な注意点もあります。

①年俸制であっても分割した額を毎月1回決められた日に支給が必要

②時間外労働が発生した場合は割増賃金の支払いが必要

③割増賃金の算定は、原則として年俸額を年間の所定労働時間で割って単価を算出

④年俸を毎月の給与と賞与に分けている(賞与額が確定している)場合、途中退職者に対し、原則として在籍期間に応じた賞与の支払いが必要

⑤年途中での減額は原則として認められない

⑥年俸額を改定する場合(特に減額する場合)は明確な基準が必要

つまり、年俸を月額と賞与額に分けている場合であっても、その全額でもって割増賃金の算定をしなければならないため、時間外労働手当の単価上がってしまう可能性があります。

また、期間中の業績悪化などによる給与改定も簡単にはできません。

一見管理しやすい給与体系と思われがちですが、運用においては「対象者」「年俸額の決定基準」「月給と賞与の割合」「時間外労働の計算方法」「不就労控除の計算方法」「途中退職時の年俸清算の取り決め」など、明確なルールを定めないままでは、リスクが大きい制度とも言えます。