地域社会の福祉の向上を支える社会保険労務士の役割と展望 (まとめ)
KOYAMA社会保険労務士法人 東京事務所の小山です。
「地域社会の福祉の向上を支える社会保険労務士の役割と展望」のテーマで、これまで計4回にわたり、私の所感を記してきました。今回のブログでは、そのまとめとして、各回のダイジェストを踏まえて記させていただきます。人事・労務に携わる方々との接点とは違う観点で、私たち社会保険労務士の役割について、ご理解いただく機会になれれば幸いです。
これまで、私たち社会保険労務士は、主として、労務管理や社会保険制度に精通する専門家として企業を支援してきましたが、今後は「地域社会の福祉の向上」に寄与する役割が重要になると、個人として考えています。
それは、第1に、「成年後見制度」では、判断能力が低下した高齢者や障害者を法律的に保護する仕組みにおいて、年金・保険給付の手続きや就労支援、障害年金請求などを担える社労士の専門性は大きな意義を持ちます。まだ受任事例は少ないものの、今後の展開が一層期待されるでしょう。
第2に、「社会復帰支援」では、刑務所出所者の自立を後押しする就労支援が課題です。社労士は協力雇用主への助言、雇用契約や規程整備、助成金活用の支援などを通じて職場定着を促し、再犯防止と社会的包摂に寄与することで大きく貢献できるでしょう。
第3に、「子ども・子育て支援」では、育児休業制度や短時間勤務制度の導入支援など、企業内での制度整備を進める一方、地域では、育児休業給付や児童手当の周知、ひとり親家庭や非正規労働者への支援など、福祉と就労の橋渡し役を担うことが、今日の少子高齢化社会の中で、一層求められるでしょう。
第4に、「生活困窮者支援」では、適正な雇用契約や社会保険加入を促すことで困窮予防に貢献し、すでに困難を抱える人には、生活困窮者自立支援制度や生活保護の活用をサポートできます。さらに、地域NPOや企業との連携を通じ、予防から伴走支援まで幅広く関わることができるでしょう。
総じて、社会保険労務士は「労務管理の専門家」としての枠を超え、地域社会の福祉を支える担い手としての役割が広がっているのだと、実感しています。
高齢者、出所者、子育て世代、生活困窮者など、多様な人々に寄り添い、企業と地域社会をつなぐ専門職として、貢献していくことが、社労士の大きなミッションの一つになるのだと確信するこの頃です。