企業の半数が「正社員不足」 猛暑による作業効率低下も影響
KOYAMA社会保険労務士法人 仙台事務所の佐藤由望です。
帝国データバンクの最新調査によると、2025年7月時点で、正社員が不足していると回答した企業は50.8%となり、3年連続で半数を超えました。
前年同月からわずかに低下したものの、高止まりの状態が続いています。
非正社員の不足割合は28.7%で、こちらも高水準ながら前年から微減しました。
業種別では、「建設」(68.1%)がトップ。背景には、契約不成立の増加や残業規制に加え、「猛暑で作業効率が落ち、休憩時間が増えている」との声もありました。
次いで「情報サービス」(67.6%)や「メンテナンス・警備・検査」(66.7%)、「運輸・倉庫」(63.9%)など、6業種が6割を上回りました。
一方、非正社員では「人材派遣・紹介」が63.3%で最多。
幅広い業種で人手不足が深刻化するなか、派遣人材に頼る動きが強まっています。
これに対し、「飲食店」「旅館・ホテル」では不足割合がコロナ禍当時より大きく改善。
非正社員数が回復したことに加え、DXやスポットワークの普及による生産性向上が背景にあるとみられます。
今後の見通しとしては、正社員・非正社員ともに人手不足は依然として高水準で推移する可能性が高いと考えられます。
ただし、小売・サービス業を中心に広がるスポットワークの活用は、柔軟な労働力確保の手段として注目されています。
働き方の多様化に対応しつつ、採用戦略や労務管理を工夫することが、企業にとって重要な課題となるでしょう。