配偶者手当のあり方の検討

KOYAMA社会保険労務士法人 仙台事務所の松田です。

 

職種別民間給与実態調査によると「配偶者手当」「家族手当」「扶養手当」等の名称で、一定の収入要件を満たす配偶者がいる従業員に手当を支給している事業所は、減少傾向にあるものの現時点でも約50%あります。

厚労省では「企業の配偶者手当の在り方の検討」サイトでは、配偶者手当受給のために就業調整を行うなどをすることは、パートタイム労働をしている女性の能力発揮の妨げとなるとともに、他の労働者の負担増などの影響を生じさせるとし、いわゆる年収の壁対策として、配偶者手当の見直しを進める事を進めています。

しかし、現在ある手当を見直し・廃止することは簡単にはいきません。一方的な廃止・見直しは労働条件の不利益変更となりかねませんし、労働者の生活にも一定の影響が出てしまいます。

それでは、どのような見直しが望ましいのでしょうか。

労使で丁寧に話し合いをして、最終的には合意をすることが必要となりますが、廃止や減額をする場合は一方的な不利益変更とみなされないよう「賃金原資総額の維持」や「必要な経過措置を設定」などを検討しなければなりません。具体的な見直し方法としては、

・配偶者手当の廃止(縮小)+基本給の増額

・配偶者手当の廃止(縮小)+子供手当の増額

・配偶者手当の廃止(縮小)+資格手当の創設

などが考えられます。

令和6年の地域別最低賃金金額の全国加重平均は1,055円となり、毎年高い水準での賃上げが求められております。配偶者手当はこの最低賃金を計算するうえで除外しなければならない賃金です。上記の見直しの一例のように、配偶者手当の廃止に伴う基本給増や、その他の手当創設を検討することで、自社の最低賃金時間額の底上げにもつながる施策ともなり得ますね。