固定残業代について①

KOYAMA社会保険労務士法人 仙台事務所の佐藤祥貴です。

皆さんも「固定残業代制度」という言葉は聞いたことがあると思います。「みなし残業」ともいいます。固定残業代制度とは、「時間外労働、休日労働、深夜労働の有無にかかわらず、一定時間分の時間外労働等の割増賃金を予め定めた金額で支払う制度」のことです。この「固定残業代制度」は労働者側から見たら、仕事を早く終わらせようという気持ちになり仕事効率を考えて仕事をするようになりますし、会社側としても残業時間の短縮や予想外の残業代に悩まされることも少なくなるというメリットがあり採用している企業も多くあると思います。

しかし注意しなければいけないことがあります。

固定残業代を払っているのだから「定時で帰るな」「残業しろ」などと考えてはいけないということです。

「固定残業代ついているのだから○○時までは仕事しろ」などと上司が言ってしまったらそれは「固定残業代制度」という制度を利用して就業時間を延ばしているだけであり、実質的には○○時までが就業時間と変わりません。

また、残業命令にもいくつか制約があります。

労働者には不必要な残業命令を拒否することができます。

会社は残業を命じる業務上の必要性が実質的に認められなければ、労働者に残業を命じることはできません。

例えば、就業時間中に納期の指定などがない雑用のような仕事を支持されていて就業時間終了間際に上司から「今日中にこの仕事を終わらせてから帰るように、終わらなくても固定残業払っているんだから○○時まではやるように」等といわれた場合は本当にその日のうちに終わらせなければいけない仕事が急遽入っての指示ではない限り「固定残業代制度」を利用した就業時間の延長、ハラスメントによる不必要な業務命令になってしまいます。

制度のことを勘違いしてしまうとトラブルになる恐れがありますので注意しなければなりません。