「静かな退職」が日本でも増加しているみたいです
KOYAMA社会保険労務士法人仙台事務所、村山です。
近年、「静かな退職」という言葉が話題になっています。これは実際に会社を辞めることではなく、「必要最低限の業務のみに徹する」働き方を指します。つまり、定時で出社し、与えられた業務をこなすが、それ以上の貢献(残業・追加業務・主体的な提案など)を避けるというスタンスです。
増加の原因となっているものとしては以下が挙げられます。
①メンタルヘルスとワークライフバランスへの関心の高まり
コロナ禍をきっかけに、働き方や生き方を見つめ直す人が増え、過剰な労働によるバーンアウト(燃え尽き症候群)を防ぐため、自分の時間や心の健康を優先する動きが広がっています。
②評価されない「プラスアルファの努力」
「頑張っても報われない」「上司や会社が見ていない」と感じると、従業員のモチベーションは低下します。評価制度やフィードバックの仕組みに課題があると、従業員は「やっても無駄」と感じ、静かに熱量を下げてしまう可能性があります。
③境界線を引く新しい働き方の価値観
若い世代を中心に、「仕事は人生のすべてではない」という考え方が浸透しています。企業に尽くすことよりも、自分の人生をどう豊かにするかを重視する価値観の変化も背景にあります。
以上を踏まえると会社側にとっては、従業員が最低限の業務しか行わなくなることで、チームや組織全体のパフォーマンスに影響が出る可能性や本当の退職へとつながってしまいます。
未然に防ぐためにも、以下のような対応が必要になってくると感じます。
①業務の偏りや負担感が原因となっている場合、適切な人員配置や目標設定の見直しや評価制度が公平・透明であるかどうかの再検討。
②日々のコミュニケーションや1on1面談を通じて、従業員の気持ちや不安を把握し、助言・指導を行う機会を設けること。「頑張りを見ている」というメッセージも伝える場としても活用すること。
③職場内で安心して意見が言える環境作りは、エンゲージメントの向上に直結するため、管理職へのマネジメント研修の実施。
「静かな退職」は 現代の働き方や価値観の変化の表れです。企業がこの動きをネガティブに捉えるのではなく、従業員の声に耳を傾け、制度や文化をアップデートするチャンスと捉えることが、持続可能な職場づくりの第一歩になるのではないでしょうか。