「賃上げ」はいくらが妥当?
KOYAMA社会保険労務士法人仙台事務所、松田です。
毎年の春闘の時期、あるいは毎年10月頃の地域別最低賃金の決定時期になると、賃上げについての話題が増えます。
どこまで賃上げに取組むかはもちろん経営者様次第となりますが、自社にとってどの程度が適切であるかを悩まれることも多いのではないでしょうか。
賃上げの判断基準の一つとして、以下の計算方法から算出する「労働分配率」があります。
目安は業種によって異なりますが、概ね50%といわれており70%以上になると人件費の割合が高いと言えます。
◆労働分配率=人件費÷付加価値
(付加価値=経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費)※非製造業の場合
また、賃金の相場を確認するには、厚生労働省の「賃金引上げ特設ページ」が見やすく、私もよく使用しています。県別、業種別、年齢別で簡単に検索することが可能です。
https://pc.saiteichingin.info/table/
一言で賃上げと言っても、基本給を一律に上げることだけを考えればいいというわけにもいきません。社会保険料等の法定福利費、また、基本給を退職金算定の基礎にしている場合は退職金の積立額なども考慮する必要があります。
しかし、せっかくの賃上げですので従業員のモチベーションが上がり、さらなる生産性向上につなげることが何よりの成果ではないでしょうか。
その為には、適正かつ公正な賃上げが必要となり、前提として賃金がどのように決定されているかを明確にする必要があります。
基本的賃金が勤続年数を基にしているのか、年齢を基にしているのか、役割や能力を基にしているのか。役割や能力であればどのような要件で決定しているのか。
明確な基準がない場合は、まずは賃金の仕組みから見直してみる必要があるかもしれません。