地域社会の福祉の向上を支える社会保険労務士の役割と展望 私の所感 ①

KOYAMA社会保険労務士法人 東京事務所の小山です。

私たち社会保険労務士は、労務管理と社会保険におけるプロフェッショナルとして、主に顧客企業の労働・社会保険関係の手続き業務や相談業務を行います。一方で、地域社会の福祉の向上を支えることも、私たち社労士にとっての今後の重要なミッションになるのではないかと考えています。例えば、高齢者支援、障害者支援、子ども・子育て支援、働き方改革支援、生活困窮者支援、社会復帰支援など、その役割は、多岐にわたるだろうと思っています。

今回のブログから、「地域社会の福祉の向上を支える社会保険労務士の役割と展望」のテーマで、何回かに分けて、私の所感を記させていただきます。労務・人事に携わる方々の接点とは、違う観点で、私たち社会保険労務士の役割について、ご理解いただく機会になれれば幸いです。

第1回目は、 成年後見人制度と社会保険労務士の役割と今後の展望について記します。

以前のブログでも、「成年後見人制度と社会保険労務士との関わり」のテーマでコメントしたことがありましたが、私もこの分野には関心があって、一定の研修期間を経て、成年後見人としての受任要件を満たす資格を得ております。成年後見人制度は、判断能力が低下した高齢者や障害者の生活や財産を法律的に保護する制度であり、地域福祉を支える基盤のひとつです。

実は、成年後見制度においては、社労士が後見人等として選任される割合は現在は非常に低く、直近の調査でも、全体の約0.3%にとどまっています 。これは、司法書士(約37.7%)、弁護士(約25.9%)、社会福祉士(約18.1%)など、他の専門職と比較しても極めて少ない割合です。そのため、社労士が成年後見人として受任するケースは稀であると言えます。

しかし、私は、この制度においては、社会保険労務士が労働・社会保険の専門職として、非常に重要な役割を担っていると考えています。
社労士は、年金や労働保険などの社会保険制度に精通しており、後見人として、被後見人の年金・保険給付の手続き、就労支援、障害年金の請求、雇用継続の支援などを適切に行うことができます。また、労働者としての権利擁護や、就労に関連する契約や労務管理の面でも、法的な視点からサポートすることが可能です。さらに、社会保険労務士は企業と連携して、被後見人の就労環境の整備や福祉制度の活用にも貢献でき、本人の社会参加を後押しすることも可能だと考えています。

今後ますます重要性が増す成年後見制度において、社会保険労務士の専門性を活かした関与が、地域社会の福祉向上により役に立つ日が来るものと思いを寄せるこの頃であります。