年間総実労働時間・所定外労働時間が全産業平均に比べて高水準なIT業界は、長時間労働が問題視され対策を求められています。厚生労働省は、「IT業界の働き方・休み方の推進サイト」を立ち上げ、IT業界における長時間労働対策として国の政策、業界の現状と課題、セミナー情報など様々な角度からの情報を提供しています。

■IT業界の長時間労働対策について
人口減少期に入っているわが国では、企業の活力や競争力の源泉である有能な人材の確保・育成・定着の可能性を高めるため、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組が求められています。

「ワーク・ライフ・バランス憲章」では、こうした取組は、企業にとって『コスト』としてではなく、『未来への投資』として積極的にとらえるべきであり、企業とそこで働く者は、協調して生産性の向上に努めつつ、職場の意識や職場風土の改革とあわせ、働き方の改革に自主的に取り組む、と記されています。

◎「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に掲げる具体的な企業及び就労者の取組(抜粋)
【総論】
・経営トップのリーダーシップの発揮による職場風土改革のための意識改革、柔軟な働き方の実現等
・目標策定、計画的取組、点検の仕組み、着実な実行
・労使で働き方の見直し、業務の見直し等により、時間当たり生産性を向上

【就労による経済的自立】
・人物本位による正当な評価に基づく採用の推進
・就業形態に関わらない公正な処遇等

【健康で豊かな生活のための時間の確保】
・労働時間関連法令の遵守の徹底
・労使による長時間労働の抑制等のための労働時間等の設定改善のための業務見直しや要員確保の推進

【多様な働き方の選択】
・育児・介護休業、短時間勤務、短時間正社員制度、テレワーク、在宅就業など個人の置かれた状況に応じた柔軟な働き方を支える制度設備と利用しやすい職場風土づくりの推進
・女性や高齢者等への再就職・継続就業機会の提供

◎長時間労働が中々なくならない理由
情報通信業では、他の業種と比較して、年間総実労働時間が長く、週の労働時間が60時間以上の雇用者の割会が高い産業です。

【週60時間以上雇用者の割合】
情報通信業:9.2% ⇔ 全産業:8.2% (総務省:労働力調査/平成27年)

【年間総実労働時間】
情報通信業:1,955時間 ⇔ 全産業:1,732時間 (厚生労働省:毎月勤労統計調査/平成27年)

長時間労働の要因のひとつとして、受発注の仕組みやITエンジニアの仕事の特性によるところもあります。情報システム構築の開発プロセスには多くのIT エンジニアがシステム設計、プログラム作成、テストに従事し、その仕事の特性には次のものがあります。

・ソフトウェア開発は、複数のIT エンジニアがプロジェクト・チームで仕事を行うため、作業の進捗管理や製品の品質管理が難しく、個々人の経験やノウハウに依存する特性があります。また、企画プロセスが不十分な場合、その後の工程に影響が出て、時間外労働などが増える場合もあります。

・仕事に従事する場所は開発プロセスにより変わることがあり、自社の事業場だけではなく顧客先に常駐して業務にあたること(客先常駐)もあります。

・開発プロセスの全部もしくは一部を他のソフトウェア会社に委託(アウトソーシング)し、元請け、一次請け、二次請け等の多重下請構造になることもあります。

◎IT業界の現状と課題
いずれも、関係者のコミュニケーション不足が長時間労働の要因となり、プロジェクトの成否はプロジェクト・マネジメントと人材の総合的な能力が鍵となります。

◎情報サービス業界における働き方のトレンド
情報サービス業界では、働く環境の向上を図るために『あるべき働き方』を示し、労働時間の適正化を図り、ワーク・ライフ・バランスを実現し、 従業員満足度倍増および女性の活躍などを目標として掲げています。

また、働く一人ひとりが自身の仕事に誇りを持ち、経営の主体性を保持し、魅力ある産業を実現し、様々な社会的要請に対応し、自らが企業や産業とともに成長できる環境づくりを目指しています。

特に、情報サービス業にとってワーク・ライフ・バランスを実現するためには、働き方を見直し、長年の課題でもある長時間労働を抑制し、年次有給休暇の取得促進を効果的に進めることが必要になります。

近年、働き方のトレンドとしてはダイバーシティ※の促進により、柔軟性の確保、多様な人材の活躍、ひいては企業の生産性向上を推進するワーク・ライフ・バランスの実現がトレンドとなっています。
※ダイバーシティ:多様な人材・働き方を活用すること

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省] http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/index.html